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2012/05 Prairie

12年5月 プレイリー

Prairie cowプレイリーに放牧された牛

こんなに広い土地がまだ米国本土に残っていたのか。その驚きは、衝撃に近いものがあった。モンタナ在住18年だから、少々の広さには慣れていた。昨年はアラスカやユーコンをドライブし、歩き、川を下ったから「広大さ」や、数字の上での「面積」にもそこそこの耐性はあった。

だが、モンタナ中央部のプレイリーの広さは、別物だった。平で、木がない。人工物がないエリアの面積で比較すればアラスカやカナダ北部ほどではないが、プレイリーにはほとんど起伏がなくて地平線に囲まれているので、視覚的には最も広さを実感する土地だ。そしてツンドラや砂漠と違って、草が生い茂る。厳密には背丈が低い草だから、プレインと呼んで区別する人もいる。

僕にはその広さを写真で伝えする技術はない。超広角レンズで、地平線と星座などを写しこめば、証拠写真は撮れるかもしれないが、ただそれだけ。牛に笑われてしまう。

プレイリーのほとんどは州や国家の公共地で、国の土地管理局が、長い間農家に牛の放牧地として貸している。牧柵以外の人工物はないが、本来生息していたバイソンもプレイリードッグもいない。牛だけが、野生動物のように闊歩する。

Bisonプレイリーに導入されたバイソン

近年になって、このプレイリーに本来の生態系を復活させたいという動きが出てきた。そして アメリカンプレイリーリザーブという市民団体が発足され、一部の私有地を買い取り、また公共地を借りて、中でプレイリーの野生動植物の生態系復活が試みられている。2005年にはプレイリーの象徴、アメリカバイソンが導入された。

http://www.americanprairie.org/

彼らの将来像は、公共地全部を国立公園のように野生生物に明け渡してくれ、というものではなく、地域の牧畜業を継続させつつも、プレイリーの生態系を復活、保存したいというものだ。そうは言っても、やはり公共地の土地の使い方では農業者と対立する部分もあり、交渉は長く続くだろう。現在のところバイソンが自由に移動してもらっては困るので、約100平方キロのリザーブの外周には柵が張られ、バイソンが出られないようになっている。

オグロプレイリードッグとアナホリフクロウプレイリーの住人、オグロプレイリードッグと、かれらの穴を巣穴として利用するアナホリフクロウ