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2013/05 Fox VS Badger

Red Fox

13年5月 アカギツネ VS アナグマ

5月下旬、ピクニックサイトからほんの50mのところに巣を構えたアカギツネの一家は、イエローストーンのスターになっていた。生後5週間ほど経った2頭の子ギツネは、巣穴から出ると母親に母乳をせがみ、その後は疲れ果てるまでじゃれあうのである。

ある日、その平和な親子に危機が迫った。一頭のバジャー(アメリカアナグマ)がキツネの巣穴に近づいてきたのだ。母ギツネはバジャーを撃退すべく、猛ダッシュ。バジャーの前に立ちはだかるが、バジャーはなかなかしぶとく、じりじりと巣穴に近づく。

バジャーが強引に巣穴の前まで寄ると、攻防は熾烈を極めた。母ギツネは大きな口を開けて、バジャーの吻端を噛み付きたいところだが、バジャーには長い爪があり、容易に前からは近づけない。吻端を地面まで下げ頭を向けて突進されては、キツネは攻撃のしようがないのだ。しかたがないので横から、後ろからバジャーの耳や横顔を噛み付きに掛かるのだが、決め手にならない。

Fox VS Badger

Fox VS Badger

実はこの攻防の様子は、妻が撮影したビデオを後から見たので説明できるのだが、その時には彼らの動きが早すぎて、かつ写真を撮影するのが精一杯で、僕には闘争の詳細はわからなかった。

結局バジャーは寄り切って、キツネの巣穴に入ってしまった!!子ギツネ、一巻の終わりか、と思ったのだが、数分後に子ギツネは別々の穴から飛び出してきた。アカギツネの巣穴には複数の出入り口があって、こんな場合にはそれらが避難口となる。

午後3時過ぎに入ったバジャーは夜までキツネの巣穴に居座り続けた。おそらく、キツネが溜め込んでいた餌のジリスを食べていたのだろう。親ギツネは体を半分ほど潜らせて巣の中を見に行くが、中に潜って追い払おうとはしない。地上でさえ手を焼いたバジャーに、地中では到底勝てそうもない。

その夜、キツネの親は少し離れたところに巣穴を掘り、子ギツネをそこに入れた。

翌日には新しい巣穴の周りで元気に遊ぶ子ギツネの姿を、再び楽しむことができた。だがまさか、それが子ギツネたちの最後の目撃になろうとは誰も予想できなかった。

Red Fox

同日夕方、あいにくキツネの両親が狩に出かけている間に、バジャーはもともとの巣穴から出ると、一目散に新しい巣穴に向かって走り、子ギツネが眠る巣穴に入ってしまったのだ。地面に残された子ギツネの臭いが、バジャーを正確に誘導したのだろう。出口のない巣穴。子ギツネ生存の望みは絶たれた。

翌日と、その翌日に1回ずつバジャーはつかの間巣穴から出たが、母ギツネからの攻撃を受けて、同じ巣穴に戻ってしまった。

その翌日、つまり子ギツネの巣を襲われてから3日近く経過すると、親ギツネは少しずつ巣穴から離れていった。

バジャー、恐るべし。今回、僕はあえてアナグマと書かずに、バジャーと書き記した。名は体を表すというとおり、その呼び名のほうが、バジャーが持つふてぶてしさや「やばさ」を醸しているからだ。

母ギツネとバジャーの攻防を妻がビデオで撮影。YouTube でご覧ください。後半に、スローモーションの動画が添付されています。