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2009/07 Alpine Flowers

Moss Campion

09年7月 高山植物

僕は、ワイルドフラワーの写真を撮る目的で山を歩くことは少ない。どちらかといえば動物を探しての山歩きや、山岳風景を求めてのハイキングの、ついでに花の写真を撮っている。特定の種類の花を求めないが、美しいと思えば何でも撮っておく。その結果、膨大な量のワイルドフラワーのスナップ写真が、特に高山植物の写真がたまっていく。

高山植物の花は、とにかく目立つ。乾燥した岩場に、原色に近い色彩を放つのだから無理も無い。だが実のところ、高山植物が絵的であるということ以上に、よくもこんな過酷な環境に生きているものだと感動させられることが、シャッターを押す原因になっているような気がする。

高山植物スナップ写真の、最大のコレクションはモスキャンピオンだろう。黄緑クッションに、鮮やかなピンクの花びらが何十、時には何百と花開く。フィルム時代の表現をさせてもらえば、まさにベルビア発色だ。クッションは20~30センチに成長し、当然バックグラウンドも絵になるから、広角レンズでも撮らざるをえない。花はクッションにくっついていて風に揺れることが無く、風がやむのを待たなくていいという点も、スナップカメラマンにはうれしい。

Jone's Columbine

今年は珍しく、ジョーンズコロンバインという花を求めて、山に出かけた。これはどこにでもある花ではなく、僕が知っているのは2箇所だけ。花季にその場へ行かない限り、何かのついでに見るということは無い。わざわざ1日を費やしても見る価値があると思える、魅力的な花だ。

コロンバインとはオダマキのこと。他のオダマキ同様、花の形は複雑で造りが細かい。ジョーンズコロンバインは園芸種と違って背丈は極端に低く、気をつけていないと踏んでしまいそうなくらいに小さい。

花びらは青紫。何とも気品のある色。強風が吹きつける小さな岩のがれ場に、場違いな様子で咲いていた。その存在のしかたは、奇跡に近い。もはやスナップ撮影どころではない。僕は腹ばいになり、息を止め、ファインダーを覗き続けていた。