FIELD NOTEFIELD NOTE

2009/01 Red Squirrel

Red Squirrel

09年1月 アカリスの餌

冬の野生動物には、概して「厳しさ」がつきまとう。餌が乏しくて寒い季節だから、人間から見ると、厳しさに立ち向かって一生懸命生きている、というふうに映る。その厳しいという概念が、動物をよりたくましく、美しく仕立ててしまい、単純な写真家の撮影意欲を高めてくれるわけだ。

だが、アカリスの場合は話が違う。彼らは十分な餌を蓄えているし、深い雪の下は地表よりずっと暖かい、という予備知識が僕にあるからだ。さらに、冬はそれぞれのアカリスの縄張りが安定していて、夏の終わりから秋に見られる縄張り争いの事故も非常に少ない。つまり、すでに厳冬期まで生き延びたリスは、わりと平易に生きているんじゃないかと、僕は見ている。というわけで撮影のテーマは、冬の厳しさというバックグラウンドは無しで、リスの可愛らしい姿に決まりだ。特に、マツボックリを両手(前足)で抱え、松かさを剥ぎ取る姿がいい。すでに数百枚のフィルムがあるが、デジカメに変えたのを口実に、気分一新で撮り続けている。

Red Squirrel

ところで、実際に彼らが十分なマツボックリを蓄えているかどうかを判断するのは難しい。雪の下の、そのまた下の地中の中だから調べようがない。しかし新しい土地に引っ越して、餌に関するちょっとした発見があった。

明るい針葉樹林には、マウンテンメープルというカエデが散在していて、すっかり葉を落とした細い枝に、枯葉のように実が残っている。実はブーメランのように浅いV字型で、その中心に小さな種子がついている。この種子がアカリスの餌になるのだが、アカリスは一気に食べようとはしない。1月の終わりになっても、まだたくさんの実が、森のあちこちに残っている。定期的に食べるというよりも、ごく、気まぐれというような間隔で、何日もリスが寄り付かないことの方が多い。だから、この写真を撮るのにも、ずいぶん時間がかかってしまった。つまりこのカエデの実は、リスからそれほど好まれないが、いざとなったら非常食になり得るのではないかと思う。裏を返せば、この実が枝についている間は、その縄張りのリスは十分なマツボックリを蓄えていると考えてよさそうである。