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2011/02 River Otter

River Otter

12年2月 カワウソ

2月初旬、妻とイエローストーンへ出かけた。イエローストーン国立公園は、米国本土で、車で簡単に行ける場所の中では最も気温が下がるところだ。妻は寒さのことを少し心配していたが、僕は「オートキャンプだから、バックカントリーに比べたらままごとみたいなもんだ」と豪語し、余裕の笑みを浮かべていた。実は、週間天気予報をチェックしたら、寒さはたいしたことはなかったのだ。最近の週間予報は、たまにハズレることはあっても、かなり精度が上がっている。

キャンプ5日目。夕方からどんどん冷え込み始めたので、水分を含んだ食料を全てクーラーボックスに入れた。足にブランケットを巻きつけてスリーピングバッグに入り、その上から毛布をかけた。空気はきりりと澄み、車窓からは星の瞬きが見えたのだが、まもなく窓ガラスには吐息が結露してしまった。

車内だというのに顔が冷え、スリーピングバッグのチャックを閉めて顔を覆うと、やがて顔周辺の布切れが凍っていくのがわかった。

翌朝、暗いうちに起床。車外にでて息を吸い込むと胸がキュンとする。鼻毛も凍る。やはり冷えている。

車のフロントグラスには氷がびっしり。特に吐息が結露した内側がひどい。エンジンをかけて、空気を送り、スクライパーでがりがりやること10分。コーヒーでも沸かしたいところだが、クーラーボックスに入れておいた水タンクはカチコチでどうにもならない。マグカップの底には、捨て忘れたコーヒーが、これまた凍り付いていた。ままごとだから、飲めなくてもいいんだけど。

River Otter

ラマーバレーには、立ち上れない霧が淀んでいた。動物たちはあまり活発ではなく、午前中はほとんど車中で過ごす。

昼ごろになって、川から出入りするカワウソを発見。5頭の家族群だ。

氷が開いているところから顔を出し、上陸し、体を振って水を飛ばし、きょろきょろと首を回して、また水にドボン。他のイタチ科の動物同様、実にせわしない。カメラのフォーカス性能を試されているような撮影だ。上陸してから数秒でひげが凍ってしまうわけだから、動き続けるというのは、理にかなっているともいえる。5頭のカワウソを交代で連写すると、カメラのメモリーがどんどん減る。

ところで、この寒さの中、水に飛び込むのはいかにも冷たそう。しかし外気温がどんなに下がっても、水温は摂氏0度以下にはならないから、彼らにすれば常温の世界。むしろ、温度差の大きい水中と陸上を行き来する能力には驚かされる。

これほど冷えると、川面のほとんどが結氷する。しかし彼らには呼吸したり、水中で捕らえた魚を食べるために上陸する、開氷面が必要だ。だから寒くなるほど開氷面が限られ、カワウソの撮影がしやすくなることがわかった。

妻がカワウソを見に来たパークレンジャーを捕まえて、朝の気温を訊いてきた。そして満足そうに、マイナス42度(摂氏マイナス41度)だったって、と言う。キャンプの最低気温新記録。

週間予報はハズレだった。