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2012/12 Diamond Dust

Diamond Dust

12年12月 ダイヤモンドダスト

よく晴れて寒さで空気が引き締まった時に、空中に光る塵のようなものが舞うことがある。小さな氷の結晶が、わずかな風にもてあそばれながら浮遊するものだ。平面的な結晶が踊り太陽光を反射するので、きらきらと輝く。それがダイヤモンドダスト。気象用語では細氷(さいひょう)と呼ばれる。

この氷の結晶は、雪のようにどこにでもよく見えるというものではない。どちらかというと太陽の方向、つまり逆光で、限られた狭い範囲で反射している。一粒一粒の結晶がきらりと輝く時間は一瞬なのだが、結晶は無数にあるので、その方向はぼんやりと光り続けて見える。望遠レンズや双眼鏡で見ると、その光芒の中で点のような光が生まれ、瞬き、消え去る。

困ったことに、それをスチールカメラで撮っても、まったく臨場感を表現できない。ダイヤモンドダストの魅力の決め手は、一瞬にして光り、一瞬にして消え去るところだ。写真のように、静止してしまっては、まったく別物になってしまう。記録写真として現象の説明に役立っても、自分が見た感動を他の人にぶつけるには到底及ばない。だから、僕は今までダイヤモンドダストが舞っても、ほとんど写真は撮らなかった。

Bighorn Sheep

前回の撮影キャンプでは、ビッグホーンを追っているときに、偶然にもその後方にダイヤモンドダストの光芒が現れた。ずっしりと重い感じの雄ヒツジと、繊細な光のきらめきは、キャラクターイメージ的にはミスマッチなのだが、両者を同じ画面に入れることができたことにちょっとした幸運を感じ、写真を撮ってしまった。とりたてて作品というような出来ではないが、眉間にしわを寄せて作品作りにこだわってばかりいないで、たまにはごく私的な、ささやかな幸運や幸福を感じた時にカメラを向けるのも悪くないかと思う昨今である。