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2008/12 Bighorn

Bighorn

12月・ビッグホーン

僕にとってビッグホーンの写真のハイライトは、雄があの太い角をぶつけ合って戦うシーンだ。それは年間を通じて見ることができるが、交尾期がもっとも活動的で戦いは変化に富む。

言うまでもないが、ビッグホーンの雄の重厚な角は、戦うためのものだ。しかし、マウンテンゴートやシカ類の角のように、相手に致命傷を負わすようなものではない。負けたからといって徹底的に痛めつけられたり、縄張りから追い出されるわけではなく、何度でも戦いを挑むことができる。

Bighorn

交尾期、発情前後の雌には1頭の優位雄がぴたりと寄り添い、他者を寄せ付けまいと目を光らせる。ペアの周りには何頭もの雄が待ち構えており、ペアの間に隙間ができると、さっと雌に近づこうとするからだ。そうした割り込み者に対して、ペアの雄は自慢の角をぶちかます。相手の頭だろうがわき腹だろうがお構いなし。一気に突進してケリをつける。せーので立ち上がって、はっけよーいと行儀よくやっているひまはない。

その戦いの合間に、漁夫の利を得ようと、若い雄が雌に交尾しようとすることもある。その粗暴なマウンテイング(交尾姿勢)に雌がダッシュで逃げると、雄どもはわれ先にと追いかける。横を走っている雄に、角をぶつけて牽制するものもいる。何頭ものビッグホーンが崖を疾走するさまは運動会のようであり、祭りのようでもある。残念ながら、その四足走行の群れに追いついていけるほど、僕には馬力がない。群れがあっという間に視界から消え、悔しい思いをすることも数え切れない。

同じ種類の動物を何年も追いかけていると、ふつう必要な写真、狙いたい絵柄というのが決まってくる。それぞれの場面での絵柄をイメージして、撮影に取り掛かる。だがビッグホーンの交尾期の戦いに限っては、僕は完全に被写体に任せている。ありのままを撮る。それだけで、いや、その方が彼らの「どさくさぶり」が伝わると思う。