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2010/04 Striped Skunk

Striped Skunk

2010年4月 シマスカンク

愛犬のハルが、家から50メートルほど離れたダグラスファーの根元で吠え立てている。クマかコヨーテだったら、森に突っ込んでいって追い払うのだが、今日は何者かを追い詰めたようだ。近づいてみると、姿を見る前にそれが何なのかすぐにわかった。

臭う、臭う、スカンクだ。

いやな予感がしてハルを呼び寄せると、すでにハルは強烈なスカンク臭を放っていた。すぐにハルをリードで繋ぎとめて、僕はカメラをつかんで撮影態勢に。スカンクの撮影には、レインウェアを着る人がいると聞いたことがあるが、僕の一張羅のゴアテックスのレインウェアにあの臭いを染み込ませるわけにはいかない。洗い流せば済むなどという、生やさしいものではないのだ、あれは。以前、鶏小屋に侵入したスカンクがライブトラップに入ってしまい、それを国有林まで移動、放獣したときに僕は散々な目に合っている。

シマスカンクがイタチ科動物にしてはあまりすばしこくないのは、やはり自分の強力な武器を心得ているからだろう。たかが臭(におい)、などと侮ってはいけない。肛門から噴霧される刺激物質は、臭いを通り越した劇薬である。でなければ、血肉に飢えた捕食動物を撃退できない。

Striped Skunk

シマスカンクは雪の多い地域は苦手らしく、グレイシャー国立公園ではめったに見かけない。だからぜひともこの撮影のチャンスをものにしたいのだが、スカンク撮影初心者としては、どこまで安全に近づけるかがよくわからない。

まずファインダーをのぞきながら、シャッターに指をかけて、じりじりと近づく。いつでも飛び跳ねて逃げられるように、ひざと腰をかがめる。スカンクはだいたい5メートルぐらいで尾を上げ、さらに近づくと体の向きを変える。お尻を向けられては危ないので、この時点で退散するのが懸命だ。

一度は最終噴霧姿勢までいってしまった。黒い毛に覆われたお尻の中央に開けられた肛門は実にまがまがしく、不気味である。予備知識が無くても、本能的にこれはやばいことが起こりそうだと、身を避けたくなるだろう。ましてや被験者には忘れられないおぞましい図として、記憶されるに違いない。不運なハルも、この一件以来、スカンクを追い詰めてはいないようだ。