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2016/01 Bison Calf

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2016 年1月 バイソンの子ども

あれま、小さい!?バイソンの群れの中で、その子どもは際立っていた。春に生まれた普通の当年子と同じ年とは思えないサイズ。それに、黄土色。子どもの夏毛だ。本来ならばこの時期、オトナと同様、こげ茶の冬毛に替わっているはずなのに。この子ども、どうやら季節はずれに生まれてしまったようだ。バイソンは普通5月ごろ生まれるが、この子の様子から9月、もしかしたら10月生まれかもしれない。

ロッキーの自然は季節に支配されている。草食動物にとって、草が雪に覆われる冬は試練の季節だ。春に生まれた子どもはそれまでに成長し、体に脂肪を蓄えておかなければならない。だから、最適の季節に子どもは生まれるように、雌が発情する時期は遺伝子に仕組まれている、はずだ。秋に子どもが生まれてしまうということは非常に稀で、その子どもは極めて大きなハンディを背負っていることになる。

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この親子をしばらく観察することができたが、季節がずれていることを除けば、ふつうの健康な親子のようだった。母親は、ときどき授乳している。子どもは小さいながらも、厳冬期のイエローストーンを生きのびているのだからたいしたものだ。生後4ヶ月ほどのバイソンは、別の子どもとはしゃいで走り回ったり、馬乗りごっこをして遊ぶのだが、さすがに今は相手がいない。周りの子どもたちは、もはや、餌を摂取すること以外には興味がなさそうだ。

積雪が最も深くなるのは2月から3月。この子どもにとっての正念場は、まだこれから。餌不足のほか、オオカミに群れをかく乱された時に、一番目立ち、狙われやすいのはこの子かもしれない。不安材料ならいくらでもある。だがそれは、人間の大きなおせっかいだ。この子がそんな不安を抱えて生きているとは思えない。母親と一緒に雪原を歩き、一握りの枯れ草を食べるたびに満ち足りているのではないか。

翌春、雪が溶けると柔らかな草が次々と芽吹くだろう。この子どもが、初めてその草を口にした時、どれほど感激するだろうか。その日のことを想像すると、僕の心は少し温かくなる。

jan2016_03春生まれの普通の子ども(左)と、ちびバイソン