FIELD NOTEFIELD NOTE

2015/08 Ptarmigan / Camouflage

aug2015_01

2015年8月 オジロライチョウ - カモフラージュ

高山帯を歩く時、僕はたいてい崖か、20メートル以上前のほうを見ている。崖を見るのは、長年マウンテンゴートを探していたから癖になっているせいで、20メートル前を見るのは、ふつうどんな動物でも近くにのこのこ歩いていけば逃げられてしまうからだ。遠くから動物を見つけ、状況によって待つなり寄るなりしなければ、動物の自然の行動を見ることはできない。

その日僕がオジロライチョウに気づいたのは、ほんの近くで親鳥がクー、クーと鳴いたからだ。やや間があって親鳥を見つけ、さらに間があって3羽の雛を見つけた。気がつけば僕は、彼らの4畳半ほどの家族団らんに割って入っていたのだ。ライチョウはカモフラージュ(迷彩)の名人だから、20メートル先では見つからず、近づきすぎて彼らが声を出したり、逃げたりしてようやくその存在に気づく。以前(2013/04)にも書いたが、ライチョウはごくゆっくりと動くことで、より効果的にカモフラージュする。

そこで興味半分、欺かれた悔しさ半分で、彼らのカモフラージュぶりを撮ってみた。普段は望遠レンズの絞りを開放にしてバックをぼかしてライチョウを浮き出すのだが、その逆だ。

高山植物の上でも、ごつごつの大きな岩の横でも、まるい石ころの間でも、彼らはフィットする。あの羽の迷彩模様のせいで、質感の違ったものに化けることができる。いや、化けるというよりも環境に溶け込むのだ。世の中には花にそっくりのカマキリとか、枯葉にそっくりな蝶とか、枯れ木にそっくりな鳥とかいわゆる擬態をして化けて隠れる名人はたくさんいる。だが名人は名人であるほど、別の場所に行くとよく目立つ。それに比べてオジロライチョウは生活圏のほとんどの場所で、採食中でさえも姿をくらましているのだ。

aug2015_0203

aug2015_0405(左)ホッキョクヤナギを採食中 (右)これはアメリカナキウサギ American Pika

余談になるが、2年前に家族旅行でコスタリカの熱帯雨林に行ったときのこと。動物探しなら俺にまかせておけ、と威勢よく言い放っていたのだが、枯れ木に擬態していたトカゲを見つけるのに、僕は一番遅かった。ロッキーの高山帯なら経験的に動物を早く見つけられると思うのだが、全く環境の違うところではその経験が役に立たなかった。そういえば空の雲の中から動物が消えて久しい。頭が固くなって想像力が乏しくなると、擬態を見抜けないのかもしれない。

aug2015_06枯れ木に擬態するトカゲ / Camouflaged lizard in Costa Rica