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2014/12 Goat, Mating

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交尾期のマウンテンゴート

11月中旬から12月上旬までの約1ヶ月。マウンテンゴートの交尾期には毎年山に通う。もう20年以上も同じような場所で同じようなことをしているから同じような写真がたくさんあるのだが、同じように興味深いからやめられない。プロとしては非常に効率の悪い仕事ぶりだとは承知しているが、道楽写真家は自分の欲求に正直でなくてはならない。

で、何がそんなにおもしろいのかというと、求愛する雄の態度と表情。

ペアが成立するまで、雄は複数の雌に近づきお伺いをたてる。読んで字のごとく低姿勢になって、雌に近づく。耳を前に傾け、舌をぺろぺろと出し入れしながら、雌に擦り寄るのだ。草食動物の例にもれず、ふだんは表情のバリエーションが乏しいゴートだが、この時ばかりは満面の笑み(なのだと思う)。まずは異性として最大限に好意を示す。

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続いて雌の陰部の臭いを嗅ぎ、この段階であっさりと引き下がる場合もあるが、かぐわしければ自慢の長いあごひげと舌を見せながら、雌にすりすりと体を寄せる。ビッグホーンのようにやみくもに雌に乗っかるなどという無礼があってはならない。あくまでもジェントルに接するのが、ゴートの流儀。寄る時も引くときも、穏やかに、なめらかに。

雌に心を奪われた雄は、しばらく雌の近くに居とどまり、数日内には交尾に至る。

以上のことは交尾期には普通に見られるのだが、まれに雌を巡ってこぜりあいが起こる。マウンテンゴートは角でライバルのお尻を狙うので、ぐるぐるとダンスをするように回り、一方が逃げてケリが着く。写真にすると、まったく争いのシーンには見えない。

ビッグホーンやムース、エルクは角が武器であり防御の盾でもある。だから体重をかけて角をぶつけ合い、迫力の闘争が展開される。だがゴートの角は盾にはならず、両者が角と角をぶつけ合うことはない。それはあまりに危険だ。マウンテンゴートの鋭い角は、彼らの社会を非闘争的で、穏やかなものに導いたのだろう。

dec2014_03舌を出して擦り寄る雄

dec2014_04冬毛に覆われた子どもたち