FIELD NOTEFIELD NOTE

2014/10 Moose

Moose

2014年 10 月 水草を食うムース

10月も半ばを過ぎると、秋が深まり草本植物のほとんどは枯葉になってしまう。ちょうどそのころから、ムースが頻繁に湖沼にやってくる。彼らの目当ては、水草だ。地上の草が枯れても、水草はまだまだ元気。とくにウォータークロウフート Water Crow Foot という植物が、流れの遅い沢や湖の底に繁茂している。背丈は1メートル以上に生育する植物だが、浮かんでいればいいので茎は硬くない。いかにも葉緑素を多量に含み、人目にも美味そうに見える。

この水草、地上の枯れ草に比べればはるかに栄養価は高い。野生動物は、栄養価の高い食物を美味しいと感じるらしいから、ムースにとってはごちそうである。ムースは広葉樹の細い枝先を食べることで有名だが、それは草本植物が無くなった季節の生き残り戦術だ。もしもレストランにグリーンサラダと枝先があったら、サラダを選ぶだろう。

強風が吹いて湖が荒れると、ちぎれた水草が湖畔に打ち上げられる。林から湖に出てきたムースは、まずは湖畔を歩いて水草を拾い食い。生後約半年になった子どもも、母親を真似てこれを食べる。足が長すぎるのか、しばしば前足を折り曲げて上半身の位置を下げる。

Moose採食する生後半年の双子

拾い食いだけで満腹になることもあるが、それがなくなると湖に入って採食。水草が多く、なおかつ食べやすい水深というものがあると思うのだが、時には肩よりも深いところに潜って食べる。食べにくいところに草が残るのは、陸上も水中も同じだ。

ある強風の朝、こんなひどい天気の時はムースは針葉樹林から出ないんじゃないか、と思っていたのだが、意外にもムースがやってきた。そして何の躊躇もせずに湖に入り、顔を沈めた。水が嫌いではムースは務まらない。強風で波立ちはするが、採食は可能だ。烈風もみぞれ雪もお構いなし。湖が凍結する前に、可能な限り大量の水草を食べておこうという算段なのだろうか。

Moose