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2014/06 Paleated Woodpecker

Paleated Woodpecker

2014年 6 月 エボシクマゲラ

エボシクマゲラの巣を見つけた。11年前の山火事で立ち枯れた大木で樹皮は剥げ落ち、お世辞にも絵になる巣穴ではない。しかし、巣穴の内壁を削り出す作業の一途さに惹かれ、見ているうちにだんだん愛着がわき、結局雛が巣立つまで数日おきに通った。

巣穴の高さは地上約25メートル。これが平坦なところにあったら撮影には高すぎるが、木は斜面にあって、運よく巣穴が斜面上方側にあったので、斜面を登れば何とか射程距離内。反面、その一ヶ所からしか撮影できないので、いつも同じ角度で巣にカメラを向けることになる。レンズは短焦点望遠の一本勝負だから画角(倍率)も同じ。これでは画面創りの変化がない。完全に被写体まかせだ。ということは、僕は記録係か。

しかしエボシクマゲラに限って言えば、彼らの容姿が極めて芸術的だから、僕が記録係に甘んじてもOKなのである。黒を基調に、真っ赤な冠羽。首筋からわきにかけて白線が入る。おしゃれではあるが、時として恐竜を思わせる不気味な表情が、またたまらない。

雛は3羽。巣立ち近くになると顔を巣穴から出して、親鳥を待ちかまえる。絵柄のハイライトは、親鳥が雛に餌をあたえる瞬間。キツツキ類の写真では定番だが、やはり両者の顔を同時に見たいということもあって外すわけにはいかない。今回の撮影位置からだと、親鳥の背中に隠されて親子の顔を同時に見ることが難しいが、親鳥が体を横にそらしたときがシャッターチャンスだ。

Paleated Woodpecker

もう一つ、僕が狙っていたシーンは、親鳥が雛の糞をくわえて飛び出す瞬間。写真に動きが生まれるし、生態を紹介することもできる。被写界深度(ピントの合う範囲)が浅いので、巣から出た顔にピントを合わせても、巣穴から飛び出した次の瞬間にはピントがずれる。カメラの動体予測機能を使っても追いつかない。だから巣穴の手前10~20センチのところに置きピンをして、親鳥が出た瞬間にダ、ダ、ダ、ダ、ダと連写。給餌シーンに比べて難易度が高いので、記録係を奮起させる。

親鳥が巣から離れた後で、すぐに液晶モニターでピントチェック。糞にピンがきていれば、「よっしゃー!!」とうめき、演歌歌手のように拳を握りしめる。そして糞の大きさ、形状、色艶などを吟味。うっとり。鳥類写真家に変わり者が多いのは、きっとこういう経験を積み重ねているからなのだろう。

Paleated Woodpecker