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2013/12 Black-Capped Chickadee

Black-Capped Chickadee

2013年12月 アメリカコガラ

ナップウィード(spotted knapweed)という植物がある。アメリカの野草愛好家がこの名を聞けば、すぐさま顔をしかめるだろう。ヨーロッパ原産のヤグルマギク属の植物で、北米に帰化した後、大変な勢いで分布を広げた。この種はパイオニア植物とも呼ばれ、土壌に栄養や水分が少ない土地でもぐんぐん成長することができる。道路わきの荒地でも、土砂崩れの跡でもおかまいなしだ。

パイオニア植物だから、やがて土壌が豊かになれば在来の植生に土地を譲って滅びてほしいところだが、このナップウィードは他の植物の成長を抑制する物質を根から出し、土地を独占するらしい。単に広まるのではなく、はびこってしまうのである。そのため、ノキシャスウィード(noxious weed)と呼ばれる、目障りでふてぶてしい害草の筆頭に挙げられている。タンポポも帰化植物で国立公園の中にもかなり広まってはいるが、生育環境が限られているので、それほど目の敵にはされていない。

Black-Capped Chickadee

先日グレイシャー国立公園で、アメリカコガラがナップウィードの種子を夢中で食べていた。積雪は60センチほど。草本植物の多くが雪に埋もれたなかで、何十本ものナップウィードの枝先が出ていたのだ。

コガラは枝先にとまり、枯れた花をつつき、種子を引き抜いて食べる。一本の株にとどまる時間は30秒から1分くらい。花から花へ、蜜を求めて舞い移る蝶のようだが、もちろんすでに花びらはない。コガラのわずかな重みに茎がしなり、コガラの背中が雪に着く。逆さまになってもコガラはつつくのを止めない。健気だ。

「大地が雪に覆われた世界で、必死に生きようとする小さなコガラ。その生命を静かに支えるナップウィード。」こういう、テレビの動物番組にありがちな歯の浮くような情緒的な言い回しに、しかし僕は弱い。特に一人でキャンプしている時は。

な~んだ、ナップウィードもわりといい奴じゃないか。たとえ嫌われ者でも彼ら一本一本の「個体」を責めてはいけない。彼らがノキシャスウィードになってしまった現象こそが、元をただせば人間の活動が、悪いのだ。

Black-Capped Chickadee