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撮影手記
2008年1月号
2008年2月・雪の林
2月・雪の林

  雪の風景は、それだけで、美しいと思う。大粒な雪が降っているときは、いつまでも見とれてしまう。野生動物を見るときとちがって、是が非でもカメラに収めたい、という気にもならず、ただただ降る雪を目で追い続ける。正直に言えば、雪降る風景をそのままに写真で表現するのはひどく難しく、撮影もそこそこに鑑賞することに専念しているのだ。
  針葉樹林の中では、時おり、積もった雪が自らの重さに耐えかねて、枝からささーっと舞い落ちる。音はない。雪が落ちたひょうしに地面にバウンスして、風がぶわっと放射状に拡がり、粉砂糖のような雪が舞い上がる。白い煙幕。それは全く幻想的で、重力や気圧が違う世界に、迷い込んでしまったような錯覚を覚える。



2008年2月 雪とシカ
 今年のグレイシャー国立公園西部は11年ぶりの大雪で、1月から2月上旬にかけて、そんな雪の風景をたびたび楽しむことができた。積雪は林の中で1メートルに達したのだが、シカ類にとっては受難の冬にちがいない。
  いわゆる草と呼べるものはすっかり雪に埋まり、彼らはシダーという針葉樹の葉や、枝に絡まりつくように生えるサルオガセなどのコケ類を食べる。シカは、草のある季節にはこれらの植物には見向きもしないが、厳冬期には選択肢が限られている。暗い林の中で黙々と食べ、命をつなぐ。これは見る側の勝手なこじつけかも知れないが、雪の中で採食するシカを見ると背筋を正される思いがして、丁寧に写真を撮ろうと心がける。
  雪とシカ。もしも僕がモンタナに生まれ育ったら、あまりにもありふれていて、こんな気持ちで見つめることはなかっただろう。